仕事を覚えるより自分を覚えてもらうこと

新社会人になり職場に配置されると、とにかく仕事を覚えて早く一人前になろうと必死になるものです。私も新人時代はそうでした。しかしそれが間違った認識なのだと気付いたのは、ある先輩の一言でした。

 

新人研修が終わり、私は対面販売の部署に配属されました。お客様と直にやりとりをし、商品を買っていただくのが仕事です。この時私が最初に感じたのは、「どうやったら売れるか」を必死に考えることでした。

 

そのためお客様と見れば飛びついて声を掛け、掛けても無視されの連続。それでもどうしていいか分かりません。

 

続いて私が考えたのが、「商品の知識を深める」ことでした。周囲の先輩方は、立て板に水のごとく商品説明をし、簡単に商品を売っていきます。私はと言えば商品知識が足りないこともあり、たまにお客様に声をかけられても右往左往する状態。そんな状態が数日続きました。

 

数日後、私はその日もお客様と見れば声を掛け、お客様お見えにならない時は商品知識の勉強をし、仕事にまじめに向き合っているつまりでした。

 

しかしそんな時、あるベテランの販売員さんに声を掛けられました。「新人君ちょっと来て」。私はなんでまじめに仕事をしているのに呼び出されるのか? 意味も分からずついて行きました。

 

連れて行かれたのは休憩室。そこでそのベテラン社員は私に「お前誰だよ? 何様だよ?」と厳しい一言を浴びせてきました。もちろん初日に自己紹介はしています。名札も付けています。まじめに仕事もしています。なぜそんなことを言われるのか分かりませんでした。

 

「答えられないだろ? お前なんて何者でもないんだよ。俺もそうだ。お客様からすれば俺もお前もただの店員。同じなんだよ」そう言われますますポカンとなる私に、その先輩は続けます。

 

「店員はまず店員であることが大事なんだ。ただ見ているだけのお客様にやたらと話しかけたり、お客様がいるのにカタログばっかり見ていたり。そんなやつは店員じゃないんだよ」。そう言われてハッとしました。私は自分のことで精いっぱいになり、周囲をまったく見られていなかったのです。

 

「お前なんかが付け焼刃でできるほど仕事は甘くないよ。まず俺らを見てろ。何をしているか、何を見ているか。後はまず自分を覚えてもらえ。周囲の仲間に。仕事を覚えるのはそれからだ」。仰る通りかもしれません。

 

それでもまだ自分が仲間はずれのような気がして黙っていると、「みんながお前の存在を認めたら、いくらでもフォローしてやる。いくらでもお前に売らせてやる。俺らはプロだから。お前は入社間もない素人なんだよ。差があって当然だ。まずは売り場にお前という店員がいることを周囲に認めさせてからだよ、物を売るのは」。

 

この言葉に衝撃を受け、確かにと感じた私はまず売り場の先輩方を観察しながら、売り場の雑務を一手に引き受けました。そうするうちに先輩方との距離も縮まり、ようやく売り場の一員になれました。

 

不思議な物でそうなると面白いように商品は売れます。不思議な体験でした。

 

ですので、新入社員になる皆さんは、まず自分を覚えてもらうこと。これが最優先事項だと思います。どんな仕事であろうとも、周りには仲間である先輩社員がいて、仕事相手にも“人”がいます。

 

そういう人たちに「自分」を認識してもらうことが一番大事なのだと思います。

 

また、もしあなたが精神的に限界で転職を考える場合は、履歴書に書く自己PRを書けるようにしておきましょう。でないと、アピールできませんからね。

 

履歴書の自己PRの例文!